野原広子先生の『今朝もあの子の夢を見た』を読んだ感想ブログです。
集英社よみタイの連載をまとめた単行本で、野原先生には珍しく男性が主人公の作品でした。
このブログ記事では、この作品を読んだ感想と考察についてまとめているためネタバレを含みます。
何も知らずに読みたい方は、作品を読まれてからご覧下さい。
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『今朝もあの子の夢を見た』作品概要
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タイトル:今朝もあの子の夢を見た
著者:野原広子
出版社 : 集英社
発売日 : 2022/11/25
登場人物
●山本タカシ
スーパーの青果部門で働く、ひとり暮らしの42歳バツイチ男性。
●鈴木真美
タカシと同じスーパーで働く30歳の独身女性。
●天野里花
タカシの元妻。当時7歳だった娘を連れて家を出た。
●天野さくら
タカシと里花の一人娘。パパ大好きっ子だった。
あらすじ
スーパーで働く山本タカシは、少し細かい所はあるものの真面目で気さくな42歳の男性です。
人当たりの良い彼ですが、実は妻が娘を連れて家を出て行ってしまった過去がありました。
当時7歳だった子どもに一度も会えないまま、気が付けば10年以上が経っている現在も娘のことを気にかけながら暮らしています。
この家族にいったいなにがあったのか?離婚後の家族の問題を描いた作品です。
この作品がお勧めできる人・できない人は?
▼お勧めできる人▼
社会問題に関心がある方
考察するのが好きな方
描かれてない背景を想像するのが好きな方
関心を持つきっかけとなる作品にしたかったようで、単純な答え合わせが描かれていない作品です。
▼お勧めできない人▼
夫から逃げるように離婚した経験がある女性
分かりやすい結末を求める方
残された夫側の心情が中心に描かれているため、読むのが辛く感じる女性もいらっしゃるかもしれません。
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『今朝もあの子の夢を見た』の感想と考察(ネタバレ含みます)
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このブログ記事は作品をすでに読まれた方、もしくは、読む前にネタバレされても構わない方を対象とした内容で書きました。
【注意】ここより以下はネタバレ含みます!
なぜ発売当日に買うのを躊躇ってしまったのか?
正直、この作品を読むのはもう少し先にしようかなと思っていました。
なぜ私がそう思ったのか?それは発売当日に書かれていた、感想レビューを読んだからです。
私はよみタイで連載されていたのを知りませんでしたが、すでに話題を集めていた作品だったようです。
そのため発売当日の朝にも関わらず、そこには重くて熱量の高いレビューが並んでいたのです。
それを読むだけで、お腹いいっぱいになった私。その日は購入するのを止めてしまいました。
それでも私が買った理由は真実を知りたかったから
いくつかの電子書籍サービスのレビューを見て回ったところ、野原作品でそんな風に描くかしらん?と、いくつか疑問を感じた感想がありました。
それが事実なのかを確認したくなり、結局、電子書籍で購入したという次第です。
夫側に悪い所はなかったか?
作品を描くキッカケとなったのが、野原さんの知り合いのバツイチ男性だったそうです。そのため夫側の心境や状況が中心に描かれています。
と言っても、すべて夫タカシ目線だけの展開ではありません。
タカシの職場に12歳年下の女性、鈴木真美が中途入社してきます。
彼女目線から見た、タカシという人間についても描かれているのが特徴です。
これはおそらく、作品の元となった男性の話を聞いた、野原先生の目線に近いのではないでしょうか。
真美からすればタカシは悪者ではない
最初は下心あるのでは?と警戒していた真美ですが、徐々にタカシに心を開いて行きます。
普段のタカシはパートのおばちゃん達にいじられる様なキャラですが、実は心に影があり、異性にガツガツしていない男性だと分かったからです。
交際するにはオジサンだけど、信頼できて、すごく良い人。という印象に変わります。
普段は明るい彼が子供に会えないと苦しそうな顔を見せるところも、真美からすれば応援したくなるのは当然ですよね。
夫婦のことは夫婦にしか分からない
真美がタカシのことで感情を深入りする姿を見て、実家の家族も、同級生たちも「深入りするな」と助言します。
真美の立場になって読んでいたので、そんな周りの意見に対して冷たく感じてしまいました。
やはりこの作品はタカシからの目線が中心です。
夫婦関係に何も問題なかった、と思っていたのはタカシだけだったことが分かりました。
妻が家を出た理由について考えてみた
タカシは元妻が娘に自分の悪口を言って、会いに来ないように洗脳しているのだろうと推測していました。
ところが娘のさくらが語ったところによると、離婚後の母親は父親の悪口を言うことは無かったそうです。
そもそも家を出るまでに至った理由は、タカシの義両親との関係が発端でした。
悩んだ元妻は夫タカシに相談しますが取り合ってくれません。
夫は娘の遊び相手をすることで、正面から話を聞くことから逃げていたようです。
夫は味方になってくれるどころか、自分の話すら聞いてもらえない・・・。孤独を抱えきれなくなった妻は耐え切れずに逃げ出したのではないでしょうか。
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なぜ元妻は父親に娘を会わせなかったのか?
もともと妻は「子供と父親を会わせない」とは考えていなかったようです。
ではなぜ、結果的に会わせることなく10年以上も経過してしまったのでしょうか。
それは元妻が気力を消失してしまったから。
離婚調停の際に、夫からしてもいないことを書かれるなど、相当ドロ沼なやり取りを行っていました。
その時点ですっかり互いの関係は冷え切ってしまうのは当然です。
しかも離婚後は女手ひとつで生活を立て直すのに精一杯。時間もお金もギリギリの状態で、元夫を気にかけるほど、元妻にそこまで気力が残っていなかったのでしょう。
最終回を考察:私は「父と娘は再会できる」に1票です!
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実は娘は父親に会おうと思えば、自分一人でも会いに行けたことが分かりました。
なぜならどの駅で降りるのか、どこの公園の前を通ったかなど、7歳だった当時からしっかり記憶していたのです。
娘のおぼろげな記憶によると、母親からも何度かパパに会いたいかと尋ねたことはあったようです。
それを頑なに断ったのは本人でした。ただ、それは今一緒にいる母親に対する気遣いではあったようです。
ラストでは娘がその町へ降り立った様子が描かれていました。
実際に再会する場面が描かれていたわけではありませんが、場所を知っているのに行かなかった娘が、自分の意志でその場所へ足を運んだ。
それはとても大きな違いだと思うのです。
昔の漫画やドラマで子供を連れて「実家へ帰らせて頂きます!」というパターンがありましたが、現代だとこのような感じになるんですね。
今回の作品もすごく考えさせられるテーマでした。
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