やまもとりえさんの『わたしは家族がわからない』を読んだ感想ブログです。
娘がいる、ごくごく普通の3人家族の物語にも関わらず、これだけ読む人を選ぶコミックエッセイは珍しいと思います。
好き嫌いではなく「分かる」か「分からないか」という意味で、読者を選ぶ作品だと私は感じました。
このブログ記事では、最終回までを含めた感想についてまとめています。
『わたしは家族がわからない』作品概要
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タイトル:わたしは家族がわからない
著者:やまもとりえ
出版社 : KADOKAWA
発売日 : 2022/6/22
登場人物
●星野美咲
結婚後に苦労した母親を見てきたため、平凡な家庭が一番だという信念を持っている。週に4日パートとして就業中。
●星野ひまり
美咲と誠の一人娘。活発な性格で幼児のころは相当なパパっ子だった。
●星野誠
穏やかで真面目なタイプ。お酒も飲まず、特に趣味は無く、家族優先の優しい父親。大学卒業後から市役所で働いている。
●通称おかあちゃん
夫のDVから子供を連れて逃げて来たシングルマザー。サバサバしているが、他者に対して気配りが細やかな女性。
あらすじ
星野家は役所で働いている穏やかで真面目な夫、パートで働く妻、元気でパパが大好きな保育園児の娘という、ごくごく普通の家族です。
ところがある日、父親が連絡もなく家に帰らないという事件が起こります。
連絡が取れないまま1週間が過ぎた頃、いつもの時間に夫は家に帰って来たのです。妻は夫を責めることなく受け入れました。
それから数年後、中学生になった娘はふとしたことから父親の秘密を知ってしまいます。
幼い頃に父親が帰ってこなかった記憶と、今回のことは関係しているのではないか?モヤモヤを抱えながら、誰にも話せないまま時は過ぎていくばかり。
ごくごく普通の家族という形が、少しずつ変わり始めたその先の決断とは・・・
この作品がお勧めできる人・できない人は?
▼お勧めできる人▼
・小説をよく読まれる方
・セリフ以外の表現を汲みとれる方
・考察する余地がある作品が好きな方
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【ネタバレ含む感想】このマンガで考えさせられたところ
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【注意】ここより以下はネタバレ含みます!
優しさを社会に向けるか家族に向けるか
この『わたしは家族がわからない』に、わかりやすい悪人は出て来ません。
細かいところを言えば、美咲の父親がおそらくDV傾向だったり、他に2名ほどガチのDV野郎が登場しますが、いずれも数コマで消えるサブキャラ達です。
メインのキャラクターである星野家の全員、おかあちゃんと呼ばれるシングルマザーは、誰ひとりとして悪者ではありません。
もちろん人間ですから、ちょっとワガママだったり、コミュニケーションが欠けていたり、頼るのが下手だったり、ちょっと打算的な面もあったりと、多少の悪い部分は持ち合わせています。でもそれが普通の人ですよね。
物語の中で結果的に家族を苦しめたのは、父親である誠が取った行動です。でもそれは誠が優しいからこそ起こりました。他人事だと思って見過ごせなかったからです。
誠が冷たい人間ではなかった為に、家族を傷つけてしまいます。優しさを向ける方向が家族ではなく、社会だったんですよね。
普通の幸せを望むことは悪いこと?
もちろん誠も、最初から迷いなく行動していたわけではありません。たまたま、モヤモヤした誠に妻や娘が何気なく口にした言葉が、小さなトゲとして刺さってしまったこともきっかけのひとつとなりました。
美咲には「普通が一番」「平凡が一番」という信念があり、それは結婚で苦労した母親の影響から生まれたものです。
母の恨み言を聞き続けてきた美咲からすれば、優しく穏やかな誠とならば、安定した家庭が築けるだろうという期待もあったのでしょう。
決して美咲は「タワマンに住みたい」「娘を有名私立に入れたい」などとは言っていません。子供の頃に持った普通の家庭への憧れ。それを叶えるために美咲は一生懸命だったのです。
そのささやかな憧れが、誠の中で負の感情を生んでしまう要因になってしまいました。
美咲は自分の生い立ちについて、夫に話したことは無かったかもしれません。もし、知っていたら違う結果になっていたかもしれません。
妻に対してだけでなく、娘のひまりが幼少の頃に言った言葉すら、その時の誠にとって引っ掛かる理由のひとつになりました。
幸いにも娘はこの時の父親の気持ちを知りません。もし知ってしまったら、自分を責めてしまったかもしれませんね。
『自分より不幸な人がいるんだから、あなたは今より幸せになろうとするのは贅沢だ』と言われたら、あなたはどう答えますか?
難しい題材を扱った作者がスゴイ!
ここまで書いてきた通り、善いことだけど、良い結果じゃない。あっちを立てればこっちが立たず。善と悪とは?正しいのに不幸とは??という、頭の中が悶々とさせられる物語でした。
このブログ記事を書いているのは発売されて8日目とまもないですが、すでにAmazonレビューは34件ついています。
KADOKAWAのコミックエッセイはレビューが他社より多いのが特徴ですが、それを含めても異例の速さではないでしょうか。
その評価も星5つが最も多いとはいえ、全体的にものすごく評価が割れています。これはだいぶ賛否が分かれる作品だというのが分かりますね。
きっと作者自身も作品を描くにあたり、大変だったと思います。どこに着地していいのか苦しかったのではないでしょうか。
あとがきにはその辺りのことも書かれています。いや、本当にお疲れさまでしたと伝えたいです。
最後に『わたしは家族がわからない』の結末に心がザワつきました
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最終回のラストページでは、過去形のセリフが交わされます。そして最後のコマのセリフ。その2つから、いったい何が起こったのか大半の読者は脳内でストーリーが展開されるはずです。
夫である星野誠は、他人の意思を継いだのだと分かります。
社会全体で考えたら良い人だけど、家族という単位で考えたら・・・重すぎる決断をしたなと思います。
もしかしたら誠と美咲はお互いに自分が感じたこと、思ったこと、考えていることを話せたら結末は変わっていたかもしれません。
本音を話してお互いに価値観が違うと分かっていれば、心の整理が出来たと思うんですよね。許せるか許せないかは別としてですが。
何が起きているのか分からないまま関係を終わらせられると、された側は立ち直るのにものすごーく時間がかかるのですよ・・・。
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今回ご紹介した『わたしは家族がわからない』も、定期的に対象となっています。
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