『消えたママ友』ラストの闇が深い！ネタバレ無し＆ネタバレ有りの感想・考察ブログです

今回は、野原広子さんの
『消えたママ友』を
読んだ感想です。

手塚治虫文化賞短編賞（2021年）を
受賞した作品だと、ご存じですか？

ある日、子どもを残して
突然消えてしまったママ友。

その周囲のざわつく気持ちを
描いたコミックエッセイです。

読むかどうか迷われている方は
参考にしてくださいね。

▼野原広子先生の最新作はこちら▼
『今朝もあの子の夢を見た』ネタバレ含む感想レビュー！妻目線のエピソードが少ないので考察してみました

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『消えたママ友』作品概要

タイトル：消えたママ友
著者：野原　広子
出版社 : KADOKAWA
発売日 : 2020/6/25

登場人物

●安西　有紀（32歳）
通称：有紀ちゃん
商社勤務、美人でスタイルが良い。
保育園の送迎は義母が担当。
夫、息子（4歳）、義母と暮らしている。

●大久保　春香（30歳）
通称：春ちゃん
おおらかな性格、食堂でパート勤務。
子どもは活発な男の子（4歳）が一人。

●斉藤　ヨリコ（35歳）
通称：ヨリちゃん
はっきりした性格だが
人当たりが良い世話好き。
夫の実家の商売を手伝っている。
娘は二人、姉は小学生で生意気盛り。
下の娘（4歳）は勝気な性格の女の子。

●八尋　友子（26歳）
通称：友ちゃん
若いが淡々としている所がある。
コンビニで働いている。
子どもは女の子（4歳）が一人。
大人しい子で、ヨリコの子供に押され気味。

あらすじ

春香、ヨリちゃん、友子は
保育園に入る前から
顔見知りだったママ友です。

子どもたちは保育園に入園し
ツバサ君という
新しいお友達も増えました。

ツバサ君の送り迎えは
いつも若いおばあちゃん。

ツバサ君のママ、有紀ちゃんとは
遠足で初めて顔を合わせます。

かっこいい仕事と華やかな外見で
ひときわ目を引く存在ですが
有紀ちゃんは性格も良くて
子供たちに対しても気配り上手です。

優しい旦那さんとお姑さん
お利口さんなツバサ君に囲まれて
キラキラ幸せそうに見えました。

そんな有紀ちゃんが
ツバサ君を残し、突然姿を消したのです。

当然、周囲は噂でもちきりとなり
男を作って逃げたのかと
好き勝手に言われてしまいます。

仲良しだったはずなのに
何も知らなかった3人。

実はそれぞれに思い当たることが
あったのです・・・

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【ネタバレ有り】このマンガの感想は大きく３つ！

【注意】ここより以下はネタバレ含みます！

①消えたママ友が消えた理由について

消えてしまったママ友こと
有紀ちゃんに3人は会うことが出来ます。

そこで有紀ちゃんの口から
ママ友付き合いだけでは
知ることのなかった
真実を打ち明けられました。

家庭内のことは
外からは見えないものです。

有紀ちゃんは母親として
非常に辛く苦しい思いで
味方が誰もいない家で
生活し続けていたそうです。

フィクションにも関わらず
ボロボロ涙が出てしまいました。

ダンナさんが原因かと思いきや
実はもっと気持ち悪い真実に
ドン引き必須ですよ！

③心に闇が無い人はきっといない

完璧に見えた有紀ちゃんにも
それなりに闇の芽はありました。

ヨリちゃんが羨ましそうな顔で
自分を見ていたことも
ちゃんと気づいていたのです。

とは言え、有紀ちゃんからすれば
地味でパッとしなくても
普通の家庭で子育てしている
3人の状況が羨ましかったのも事実。

逃げ出した先で
新しい幸せを見つけた有紀ちゃん。

最後のセリフに
闇の奥深さが感じられて
笑ってしまいました。

あ、意外とマウントも取るのね、って（笑）

でもそれでも良いんですよね。

誰にでも優しくて
完璧な良い人でいる必要なんてない。

闇だって多少はあって
良いと思うのです。人間だもの。

誰にだって多かれ少なかれ
闇の部分を持っているはず。

いくら友達だったとしても
それらを全て分かち合わなきゃいけない
なんてことないですからね。

③ママ友との適切な距離感って？

幼稚園に比べると
接するタイミングが限られる
保育園のママ友関係は
わりとあっさりしていると思います。

それでも、どのぐらいの
距離感でいればいいのか迷いますよね。

春香、ヨリコ、友子の場合は
ママ友に対するスタンスに
大きな差がありました。

有紀が誰にも言わずに消えたことで
反応が全く違ったのです。

春香は親身になるタイプ

普段はおおらかなのに
有紀のことを悪く言われると
本気で怒る様子が度々、見られました。

また、3人の中で最も
有紀を心配していたのも春香です。

夫からすれば
他人に深入りし過ぎるところが
少し気になるようでしたね。

ヨリコは体育会系タイプ

ヨリコは正義感が強いタイプです。

子供を置いて行ったことの「怒り」
友達だと思っていたのにと
失望から「怒り」を感じていました。

はっきり物を言う性格や
意識高い系のところもあり
ママ友づき合いで
過去に失敗をしている彼女。

それから気をつけているものの
自分が他人より優秀でありたい
そんな欲望がときどき見え隠れします。

世話好きで社交性も高く
良くも悪くも距離感を詰めるのが
ヨリコの特徴のようです。

友子は線を引くタイプ

一番若い友子は人間関係に
ドライな面があります。

子ども同士が仲良しなだけで
親同士が分かり合えるはずもない
何もかも話す必要だってない。
（そりゃそうだ）

ママ友って友達とは違うから
友子のスタンスでいるのが
当たり障りがないのかなと思います。
（特別、楽しくは無いけど）

『消えたママ友』の結末は“逃げろ”がキーワード

今回の『消えたママ友』ですが
シンプルな絵柄なのに
1本の長編映画を見終えたような
満足感もあります。

ただし読後感は微妙です。

何故なら、ママ友の一人が
有紀ちゃんと同じことを
したのではないか・・・
そんな匂わせのラストで終わるからです。

果たしてそれは
春香か、ヨリコか、それとも友子か？

自分の生活にそれなりに
納得しているように見えても
本当に満足か？と問われたら
100％でYESなんてことありませんよね。

夫がもっと気遣いあったら
妻がもっと優しかったら
子どもがもっと賢かったら
お金がもっとあったら
ここがもっとこうだったら・・・

特に女性の方がガラッと
環境を変えたくなるというか
変身願望みたいなものありませんか？

有紀ちゃんは辛い状況から
「逃げたい」でした。

もう一人のママ友は
変わらない毎日を「変えたい」
気持ちになったのかもしれませんね。

『消えたママ友』気になるキャラのその後について

消えたママ友の登場人物の中で
その後が気になるキャラについて
考察（妄想）記事を書きました▼

読者が想像して楽しめるところも
野原広子作品の醍醐味ですね。

他にもあります『夫婦・男女のドロ沼系』マンガ作品情報

▼問題のない夫婦が壊れた秘密とは▼
『わたしは家族がわからない』あらすじとネタバレ含む感想レビュー！読後がめっちゃ重いので要注意

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