『わたしが誰だかわかりましたか?』ネタバレ含む感想レビュー！タイトル回収よりも深いテーマがそこにある

やまもとりえ先生の『わたしが誰だかわかりましたか?』を読んだ感想ブログです。

主人公は夫と離婚したばかりの42歳のシングルマザー。

反抗的な息子や、親身になってくれない友人達に疲れた彼女がバツイチ男性と出会ったところ──

タイトルの『わたしが誰だかわかりましたか?』の通り、え？あなた誰？と思わせるミステリー的要素もある作品です。

最終回までを含めた感想についてまとめました。

『わたしは家族がわからない』あらすじとネタバレ含む感想レビュー！読後がめっちゃ重いので要注意

『わたしが誰だかわかりましたか?』作品概要

タイトル：わたしが誰だかわかりましたか?
著者：やまもとりえ
出版社 : KADOKAWA
発売日 : 2023/2/16

登場人物

●海野サチ（うみのさち）
42歳の会社員。離婚したばかりのシングルマザー。

●海野サトル
サチの息子。中学1年生。

●魚沼光
サチの会社の後輩。

●川上樹
40歳のシングルファザー。娘がいるらしい。

●藤木マリナ
サチや魚沼の同僚。サチとは同期。

●加奈子と萌
サチとマリナの同期。寿退社しているがときどき女子会をしている。

あらすじ

海野サチはシングルマザーになったばかりの42歳。

彼女の手元に残ったのはうわべだけの友人と、反抗期の息子と、その息子を養うための仕事だけ。

そんなある日、サチはバツイチ子持ちの男と出会い意気投合します。

気が付けば恋に落ちていたサチだが、メールだけの関係にほころびが生じ始め──

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『わたしが誰だかわかりましたか?』の読みどころ

【注意】ややネタバレを含みます

この作品のキャッチコピーは、このように書かれています。

夫と離婚して数ヵ月後、わたしは匂いをかぎたいと思う、ある男と出会った。

シングルマザーだから不倫ではないものの、妙齢女子のドロ沼系はお腹いっぱいかな～と一瞬読むのを迷いました。

それでも私が手にとったのは、やまもとりえさんの作品だからという理由があります。

その期待は裏切られることなく、この作品のテーマは違うところにありました。

読んだ後にじっくり自分で考えてみたい、誰かと話しあってみたい、そういう方にお勧めの作品です。

『わたしが誰だかわかりましたか?』の感想（ネタバレ含みます）

【注意】ここより以下はネタバレ含みます！

全ての登場人物が嫌なヤツ？

物語は主人公サチを含めた4人の女性が、女子会をしている場面から始まります。

サチは離婚したばかりなので、てっきり友人達は励ます方向に話をもっていくものだと思いますよね。

ところが芸人のようにネタとして突っ込む友人もいれば、サチの状況を「私ならムリ」という友人まで出る始末です。

主人公はこの友人達に対して「親身になってくれない」とガッカリします。

そして家に帰れば思春期なのか、ろくに会話をしてくれない息子がひとり。

その息子を養うために働き、時にはいらないと言われるご飯を作り、なんだかなあという日々を送っているのが主人公のサチです。

頑張っている主人公と、周りのちょっと嫌な友人や家族・・・という構図かと思っちゃいますよね。

ところが、話が進むにつれてサチの嫌な部分も見えてきたのです。

当事者でなければ正論はいくらでも言える

登場人物がサチに対して、みんなそれぞれ困った行動や態度を取っています。

でもそう感じるのは、この作品の主人公がサチだからです。

あからさまに嫌なタイプはサチの同期であるマリナですが、彼女がそういう態度をするのにも理由がありました。

彼女が主人公であれば、サチの愚鈍さが描かれたでしょう。

読み手である私たちは、登場人物のここが悪い、もっとこうするべきだ、出来なかった人間の自己責任だ…みたいに感じるかもしれません。

でも自分が当事者になったら、そんな教科書通りの立ち居振る舞いって出来るのかな？と思います。

自分にも他人に対してもバッファを持たないと、生きるのが苦しくなるような気がしました。

他人をどこまで信用できるのか？よりも・・・

悩みを打ち明けたところで、親身になってもらえるとは限りません。

熱心に話を聞いてくれたけど、キレイな言葉で励まされるだけかもしれない。

でも自分から伝えなければ、ずっと相手は分からないままかもしれない。

誤解されたままだから、相手に嫌なことをされるかもしれない。

どこまで自分をオープンに出来るかは、相手がどれだけ信頼できるかというのも一つだと思います。

でも他人のことなんて実際は分からないですよね。

自分の心がどれだけ強いのか、そちらを基準にした方が良いのかなと思いました。

プチ感想①

サチが川上さんと出会った辺りに、思わず分かる～と共感してしまいました。

「40過ぎの色ボケババアと思われなくない」と客観視は出来るんですよ。

とはいえ恋の始まりに年齢は関係なく、やっぱり心は踊っちゃうのでテンション上がりますよね。

プチ感想②

あとがきのところに、編集の山﨑さんがのことが書かれていました。

私はたまにTwitterでブログ公開のお知らせをするのですが、よく反応して下さるのがおそらくこの方なんですよね。

他の作品で編集さんが反応してくれることは殆ど無いので、マメな担当さんなんだろうなと思います。

他にもあります『日常崩壊系』マンガ作品情報

毒親、嫉妬、モラハラ等がテーマのマンガ感想一覧はこちらから

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