『赤い隣人～小さな泣き声が聞こえる』ネタバレ含む感想レビュー！ストレスの矛先が向かった先は…

野原広子先生の『赤い隣人～小さな泣き声が聞こえる』を読んだ感想ブログです。

とある街のアパートに引っ越して来た母親と幼い息子。

周囲の目を気にしている親子に対し、幸せそうな隣人が親しげに接してくれるようになりました。

そんな理想の家族に見えていた隣家から、どこか不穏な様子が伝わり始め──

野原広子ワールドが好きな方なら見逃せない作品です。最終回までを含めた感想についてまとめました。

▼この作品のドラマ化情報▼
2023年7月15日　19時56分～　世界一受けたい授業（日本テレビ）
～話題のコミックエッセイ『赤い隣人』に学ぶ しつけと虐待の境界線～
【主演】三倉佳奈　福田麻貴(3時のヒロイン）

▼野原作品がときどき読み放題▼
【2023年6月】今月は野原広子先生のコミックエッセイが読み放題の対象です！

赤い隣人～小さな泣き声が聞こえる作品概要

タイトル：赤い隣人～小さな泣き声が聞こえる
著者：野原広子
出版社 : KADOKAWA
発売日 : 2023/2/9

登場人物

●小出希（こいでのぞみ）
もうすぐ小学生になる息子を連れ、アパートに引っ越してきた女性。

●小出健太（ケンちゃん）
ママが好きな穏やかな男の子。

●長谷川千夏（はせがわちか）
希が入居したアパートの隣りに住んでいる主婦。

●長谷川桃花（モモちゃん）
健太と同い年の千夏の娘。二人は仲良くなる。

●長谷川周平（はせがわしゅうへい）
千夏の夫。娘だけでなく健太も可愛がってくれる優しい男性。出張が多い。

あらすじ

もうすぐ小学生になる息子と二人で、新しい街に引っ越してきた希（のぞみ）。

質素なアパートに住み始めた親子は、隣の一軒家に住む主婦、千夏（ちか）と家族ぐるみで仲良くなりました。

ところが理想的な主婦に見えた千夏に対する違和感が増していき・・・

子育てや人間関係について考えられる物語です。

この作品がお勧めできる人・できない人は？

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『赤い隣人～小さな泣き声が聞こえる』の読みどころ

【注意】ややネタバレを含みます

レタスクラブで連載を追っていた方は、間違いなく隣人の主婦「千夏」が、子供に対してやっちゃってんな…と思っていたことでしょう。

むしろ読者が気になっていたのは、主人公である希の事情ではないでしょうか。

周囲に素性をもらさないよう気をつけていた様子から、夫から逃げて来たのは読み取れましたが自体はもう一段申告でした。

単純に隣人の母親だけが悪者になる、それだけでは終わらない展開がこの作品の読みどころだと思います。

『赤い隣人～小さな泣き声が聞こえる』の感想（ネタバレ含みます）

【注意】ここより以下はネタバレ含みます！

共感できる部分もあるから難しい

連載当時から隣家の千夏が、娘のモモちゃんに対して教育虐待をしているのは伝わっていました。

ただ、これって線引きが難しいところがありますよね。

千夏自身が親からしっかり教育を受けてきたからこそ、今のポジション（良い暮らし）にいるわけで。

だからこそ娘にも良い教育を与えてあげたいと、手間と時間をかけて子育てしていたのも事実です。

希がモモちゃんのことを「しっかりしてる」と褒めたことがあります。

そのことに対して後日、千夏が言ったセリフが象徴的でした。

私はあの子が
しっかりするように
努力してるのよ

（略）

希ちゃんみたいに
ほったらかしにしてたら
そりゃあテストの点数だって
悪いに決まってる

希が勉強を見てあげる余裕は無く、その結果テストの点数が悪いことが事実であるだけに言い返せません。

そして常識的に見える主人公の希にも、他人には言えない秘密がありました。

とはいえ、これもまた事情があったからこその行動でもあり・・・追いつめられた結果の選択だったところも歯がゆいところですね。

子供たちへのしわ寄せが辛すぎる

教育虐待を受けていたモモちゃんですが、同い年の健太が引っ越してきたことで希望が生まれました。

それはほんの短い時間かもしれませんが、モモちゃんにとって逃げ場が出来たことは大きな救いになったと思います。

そして希に対しては「それをやっちゃいけないよ」と思ったことがひとつ。

それは健太に嘘をついていたこと。

パパは健太に対しては優しかったため、大好きなパパをいきなり奪われたこと、大好きなママに嘘をつかれたことの衝撃は相当だったようです。

同じ野原作品でも今回と真逆の立場なので合わせて読むと面白いと思います▼
『今朝もあの子の夢を見た』ネタバレ含む感想レビュー！妻目線のエピソードが少ないので考察してみました

赤い隣人の結末は安定のイヤミスでした

そもそもタイトルの『赤い隣人』って怖くないですか？

赤＝血という想像をしますし、さらに副題が「小さな泣き声が聞こえる」ですもんね。

お隣のモモちゃんがどうなってしまうのかと、連載の続きを読むのが怖かった部分もあります。

最終的に「赤」は血ではなく、そっちの意味か～。なるほどな～と納得させられました。

ラストの3ページでは「お前かっ！」と叫ぶこと間違い無しで、安定のイヤミスで終わったのでした。

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