『大蛇に嫁いだ娘』ネタバレ含む感想レビュー！相手に対する愛情を永遠に持ち続けられるのか？

フシアシクモさんの『大蛇に嫁いだ娘』を読んだ感想ブログです。

山の主である大蛇に、村人たちから嫁という供物として差し出された少女ミヨが主人公の物語。

少しずつ変わっていく関係性に引き込まれる作品です。1・2巻を読んだ感想についてそれぞれまとめました。

『大蛇に嫁いだ娘』作品概要

タイトル：大蛇に嫁いだ娘
著者：フシアシクモ
出版社 : KADOKAWA
発売日 : 2021/11/12
※単行本1巻には第1～8話までが掲載されています。

大蛇に嫁いだ娘の登場人物

●ミヨ
村人達から虐げられていた家族の娘。供物として山の主の大蛇へ嫁ぐよう村から追い出された。

●大蛇
熊ですら一気飲みできるほど巨大な大蛇。山の主だが本人（？）いわく「ただの長生きした蛇」とのこと。

●ミヨのじいちゃん
父を亡くし、母は精神を壊してしまい、唯一ミヨに愛情を注いでくれていた相手。すでに亡くなっている。

大蛇に嫁いだ娘のあらすじ

額に傷がある娘のミヨは、山の主である大蛇のもとに供物として村人たちから差し出されることになりました。

その恐ろしい姿に怯えるミヨとは対照的に、大蛇は夫婦になれたことを喜んでいる様子。

当然ですが大蛇の愛情表現は人間同士のものとは違い、ミヨは簡単に受け入れることが出来ません。

逃げたい、でも村には戻れない。異種族婚姻の行方とは・・・？

この作品がお勧めできる人・できない人は？

▼お勧めできる人▼

基本的には「蛇が平気」「エロティックな描写も平気」な大人の方であれば、誰もが楽しめる作品だと思います。

▼お勧めできない人▼

大蛇様はデフォルメの可愛らしい時もありますが、リアルな作画が多いので蛇とか爬虫類系が苦手な方には避けた方が良いと思います。

艶のある場面が含まれるため、18歳以下の方、異種族との肉体的な絡みが苦手な方にはお勧め出来ません。

▼大蛇様よりも人間的な感情を持たない女性教師の話▼
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【ネタバレ含む感想】大蛇に嫁いだ娘1巻の見どころ

【注意】ここより以下はネタバレ含みます！

少女の感情の変化に共感できる

ミヨが初めて大蛇様と対面した際、その圧倒的な大きさの違いに驚かされます。

私は山で小さな蛇と遭遇した時ですら「ひゃあっ！」となりましたが、ましてやそれが自分よりも遥かに大きな大蛇です。ミヨが受けた恐怖は死を覚悟するぐらいのものだったでしょう。

大蛇様は肉食です。襖の向こうで生餌を食べている気配に、食事中のミヨは吐き気を覚えます。それはそうですよね。

いつ自分が喰われる立場になるかも分かりません。そんな精神状態で24時間生活するなんて、逃げ出したくなるのは当然です。

心境の変化

最初は恐怖しかなかったミヨですが、徐々に大蛇様の不器用な優しさや気遣いを感じ始めます。

時には死んでしまった大好きなじいちゃんと、大蛇様を重ねてみるようにもなりました。

だんだんと大蛇様との生活にも慣れ、亭主の文句を言う嫁のような余裕も出てきました。もしかしたら、このままふたり（？）は穏やかに暮らしていけるのではないかと思ったのですが・・・

再びの嫌悪感

ミヨが心を開きはじめたのを感じ、大蛇は自分を受け入れる準備が出来たのだと早合点してしまいます。

それによってミヨの心は再び閉じてしまい、それまで普通に出来ていたコミュニケーションすら、ぎこちなくなってしまったのでした。

大蛇様のギャップにほっこり

手も足もない大蛇様はミヨに優しく触れたくても、牙のある口で加えるか、胴体で巻きつけるぐらいしか出来ません。

ちょっとした行動がミヨに誤解を与えてしまいますし、時には身体的なダメージも加えてしまいます。

最初はリアルな描写が中心ですが、作品が進むにつれてデフォルメ化されているコマが増え、なんだか可愛らしく感じるようになりますよ。

お互いの不器用な様子がもどかしい

心を開きかけたミヨが再び嫌悪感を感じてしまったあと、なかなか二人は元の距離感に戻すことが出来ませんでした。

そんな状態のまま、動物たちが冬眠する時期が近づいてきました。山の主である大蛇様も例外ではありません。

気持ちが離れたままのふたりが、物理的に離れてしまったらどうなるのか？

独りになったからこそ、自分の本音をより深く感じていく様子が描かれていました。そしてミヨが選んだのは・・・

最後に：1巻の結末に息をのみました！

1巻のラストには思わず「嘘でしょっ⁉」という声が出てしまいました。

その言葉が出た理由は２つあります。１つは「いつの間に？」というもので、思わず電子書籍のページを後戻りして確認しましたよ。

もう１つは仮にそれが事実だったとして、果たしてその先に何が待っているのかということです。私がミヨだったとすれば恐怖心を感じずにはいられません。

幸い、私は1巻2巻を同時に購入していたのですが、連載と同時進行で読んでいるとか、1巻しか買っていなかったら続きが気になって悶絶したと思います。

【ネタバレ含む感想】大蛇に嫁いだ娘2巻の見どころ

単行本2巻には第9話、10話、11話、12話、13話までが掲載されています。

【注意】ここより以下はネタバレ含みます！

2巻からの主な登場人物

●僧侶
敵討ちの相手を探す旅をしているらしい。滞在していた村で親から暴力を振るわれていた子をかばい、最終的に殴り返して相手を制した様子に村人達からは「僧侶なのに」と引かれてしまう。

●八兵衛（はちべえ）
口は悪い長生きした狸。ミヨの唯一の話し相手であり、下世話な話がわりと好き。

●半蔵（はんぞう）
故郷へ戻る途中にミヨ達の山へ迷い込んだ、明るく人見知りしない男性。お喋りだが、察しがよく相手に踏み込み過ぎない所もある。

●渉（わたる）
ミヨの弟。村に一人残され、気力を失った母親の面倒を見ながら働いている。

ふたりの初々しい様子に癒される

長い冬が終わり、冬眠を終えて大蛇様が家に帰ってくる所から2巻は始まります。

ふたりの状況を例えるなら、見合いの当日に結婚した新婚夫婦です。

それが1年も経たないうちに長い期間、離れて暮らすことになったわけですよね。そりゃどんな顔で帰ればいいか判断に迷うでしょう。

自分の家に帰って来ただけなのに第一声を出す前に深呼吸をする様子とか、ミヨがこちらに来る物音にビクついたりとか。ミヨよりも大蛇様の方が緊張している様子が可愛らしかったです。

ミヨの変化に心が温かくなる

ミヨは家族に不幸が続き、村人達から供物として体よく追い出された娘です。

これで私の人生は終わると絶望していた先に、穏やかで安定した暮らしが待っているなんて想像していなかったんですよね。

将来に希望を感じられなければ、生きる気力はどんどん先細ってしまいます。

ミヨはもともと優しい少女でしたが、だんだんと生命力あふれる逞しさも身につけ始めていきました。

R18！納得の艶っぽさよ・・・

漫画自体に年齢制限はありませんが（おそらく）、2巻はだいぶ艶っぽい場面が多く描かれています。

二人のやり取りは、まるで初体験同士のカップルのようで『蛇と人間』ということを忘れるぐらいでした。

蛇の特性を抜きにすれば二人のやり取りがリアルで、かえってエロティックというか、生々しい感じにドキドキさせられますよ。

最後に：2巻のラストに心が締め付けられました

大蛇様との結婚がミヨの人生を明るく変えてくれました。村の生活は辛かったことばかりだったのに、今ではミヨは毎日を笑って過ごせるようになったのです。

最初は恐怖でしかなかった大蛇様への感情も大きく変化していきました。ところがその気持ちが一転するような出来事が起こります。

大蛇様は人間とは違うため、やはり信頼してはいけないのか？

でもミヨや私たち読者を裏切らないで欲しい、そんな衝撃の展開で2巻は終わります。

他にもあります『日常崩壊系』マンガ作品情報

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今回の『大蛇に嫁いだ娘』は対象作品ではありませんが、Kindle Unlimitedに多くを出品しているKADOKAWAさんなので将来的に期待したいところです。

Kindle Unlimitedについて、もっと詳しく知りたい方は『Kindle Unlimitedとは？元が取れるひと・取れない人について簡単に説明します』で説明しています。