ハラハラ系マンガ感想

実の子を悪魔と呼ぶ母親とは『おかあさんといっしょがつらかった』 ネタバレ含む感想

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今回ご紹介するのは
彩野たまこさんの経験を描いた
“おかあさんといっしょがつらかった”は
コミックエッセイです。

最終回までを範囲とした
ネタバレを含みますので
気になる方はご注意下さい。

おかあさんといっしょがつらかった(ネタバレ含む感想)

作品概要
出版社 : 講談社 (2021/2/10)
発売日 : 2021/2/10
作者:彩野 たまこ(さいのたまこ)

ちほちゃん
ちほちゃん
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“おかあさんといっしょがつらかった”
このタイトルを見て
どんな物語を想像しましたか?

シングルマザーで
母親の帰宅が遅いため
お母さんといっしょを
いつも一人で見ていたとか

父子家庭で
母親がおらず
寂しかったとか

そういった家庭環境の
子供の話なのかと想像しました。

むしろ逆で
両親はもちろん
優しい祖父母や兄弟と暮らす
普通に幸せそうな
家庭の物語でした。

でもそれは、あくまでも
外部から見た話だったのです。

目次

第1話 この悪魔の子!!
第2話 お前は恥ずかしくて汚い子なんだよ
第3話 ママの子なのよ
第4話 嫌な子だね
第5話 娘なんだからやられて当然だろう
第6話 あら お弁当なら
第7話 おとうさんといっしょもつらかった
第8話 いいかげんにしろよクソババア!!
第9話 どんどんお母さんに似てきてるもん
第10話 「家族のつながり」

登場人物

  • たまこ(絵が得意、勉強と運動は普通)
  • 母(ピアノ教室を自宅で開いている)
  • 父(教職者/厳格/学力重視)
  • 祖父、祖母(母の両親/やさしい)
  • 兄(成績は中の下)
  • 弟(まだ幼い)

二世帯住宅で7名が暮らしていました。

あらすじとポイント

お風呂掃除をしなかっただけで
「悪魔の子!」
「うちの子じゃない!」
などと母から叩かれるのは
娘のたまこにとって普通の出来事でした。

祖母は一応たしなめますが
実の娘を止めることは出来ません。

娘が絵で賞をとったときも
「人の目を気にして媚びた絵だ」
そう言って、冷たくあしらいます。

母が娘のたまこについて話すとき
「バカな女」という言葉を
よく使っていたそうです。

最近はいかに自己肯定感を
育てていくのかが
子育てのキーワードとなっています。

この母親がしていることは
それとは真逆に否定することしか
していませんでした。

いきなり優しくなる母親が怖い

私が最も怖いと感じたのが
そんな母親が別人のように
優しくなる場面です。

「お母さんはね
たまこちゃんが
天使の子だと思ってるから
大切だから
厳しくするのよ

だからたまこちゃんも
どうかわかってね」

まさにDVの典型ですよね。
それを聞いた小学生のたまこは
こう思うのです。

「お母さんはやっぱり
私を大切にしてくれてるんだ
私もお母さんを
もっと大切にしなくちゃ」

もう、泣けますよね・・・
さらに続きます。

「こんなろくでもない子を
育ててくれてありがとう」

家庭内で起きていることは
子どもにとって
これが当たり前だ
思ってしまう怖さを感じます。

母親の機嫌がよくなる理由

この母親が優しい態度に変わる時は
入信している新興宗教の
DVDを観た直後だったそうです。

もうこの時点で
ヤバ過ぎてお腹いっぱいですが
これだけでは終わりません。

  • 重度の酒乱
  • けっこうな喫煙量
  • 片付けられない
  • 虚言癖もある
  • 自分の失態を娘に押し付ける

こんな母親ですが
ピアノ教師としての評判は良く
生徒(よその子)には優しく
丁寧に教えてあげていたそうです。

家族には態度が悪いのに
外では感じが良い人という
典型的なパターンですね。

子供の頃の思い出

娘のたまこにとって
休日の思い出と言えば
母と何本もの電車を乗り継ぎ
片道3時間以上かけ
信者向けのセミナーへ
連れていかれたことだったそうです。

父や兄からは
お前が嫌だったら
行かなくてもいいと言われましたが
たまこは断りませんでした。

なぜならセミナーを受けた直後は
母の機嫌が良くなり
とても優しくなるからです。

たまこにとって
お母さんに優しくしてもらえる
貴重な機会だったんですね。

帰りはレストランに寄って
好きなだけ注文をさせてくれたうえ
母親は泣きそうな顔で
こんなことを言ったそうです。

「たまこちゃん
生まれてきてくれてありがとう」

ど、どの口が言うかぁぁ~!?
読んでいて突っ込みたくなりますよ。

最も切なくなったシーン

セミナーの間に相手をしてくれた
シッターさんに対し
娘たまこの頭に浮かんだ言葉。

「この人が私の
お母さんだったらいいのにな」

そう思うのも当たり前ですよね。

ですが、そう思ったこと自体が
お母さんへの裏切りだと
たまこは罪悪感を感じてしまいました。

そして自分は悪い子だからと
自分で自分の事を殴ってしまうのです・・・

こんな家庭環境で
たまこや兄弟達が
無事に成長することが出来るのか
最後まで手を止められない作品でした。

結末(最終回)はどうなるの?

父親は父親で問題があり
実の娘に対し
こう言ったこともあります。

「言っておくが
お前が生まれてきてから
一度もかわいいなんて
思ったことがないからな

お前の知性のない喋り方は
不愉快だ」

夫婦関係は悪かったものの
子供達に対する悪口の時は
意気投合したそうです。

そんな状況でしたから
二人が離婚すると知ったときは
たまこは喜びました。

なぜなら責められる相手が
2人から1人になるから。

泣けますね・・・

「うれしい!
願い事って叶うんだ」

私は内心
天にも昇る気持ちでした

ただ、父親がいなくなることは
母親の攻撃対象が
減ってしまうことでもありました。

たまこは限界を迎え第8話の
『いいかげんにしろよクソババア!!』で
初めての反抗をします。

正直、よく言えたね!と
胸がすっとしましたが
これにより母親のターゲットが
たまこに絞られてしまったのです・・・

人は辛過ぎると記憶を失うことがある

この後、物語はたまこが成人し
結婚相手を友人に紹介する場面へと
一気に飛んでしまいます。

人間の防衛反応のひとつとして
耐えがたい記憶を
抹消することがあるそうです

このころから私は
物事への記憶が曖昧になっています

成人するまでの
記憶が曖昧なため
描くことが出来なかったのですね。

家の建て壊しが決まり
母親は家から
追い出されてしまいます。

90歳近い祖父母は施設へ入居し
兄はたまこと喧嘩して音信不通
弟は結婚して家族を持ちます。

その後の母親については
知りたくもないため
その後については分からないそうです。

作者(彩野 たまこさん)がこの本で伝えたいことは?

作者たまこさんが
この経験を描くことで
何を伝えたかったのは
私が言えることはないのですが
(壮絶過ぎて)

あとがきにて

描いていくうちに
過去と一緒に
少しずつ自分を
受け入れていく事ができました

と仰っていたので
良かったなと感じます。

同じように家族関係で
苦しい思いをしている方に

過去は変えられないけど
未来は変えることができる。

家族のつながりが
自分を辛くしているなら
その縛りを切り離したっていい。

こういうことがこの作品を通して
伝わればいいと思いました。

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