上野りゅうじんさんの『女はいつまで女ですか?莉子の結論』の感想ブログ記事です。
主人公は女として妻としてモヤモヤを感じながらも、毎日忙しく過ごしています。一方、妻にダメ出しをしつつ、妻に変わって欲しくない夫。
そんな夫婦が描かれた、タイトルから不吉な予感がするコミックエッセイです。最終回までを含めた感想についてまとめました。
結末について感想・考察がメインとなるため、最終回まで知っている前提で書いています。未読の方はご了承のうえご覧ください<(_ _)>
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『女はいつまで女ですか?莉子の結論』作品概要
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タイトル:女はいつまで女ですか?莉子の結論
著者:上野りゅうじん
出版社 : KADOKAWA
発売日 : 2021/11/26
登場人物
●莉子
39歳の専業主婦。夫とは結婚して7年目。
●莉子の夫
面倒見がよく世話焼き。平日は残業や仕事を持ち帰ることも多く、休日は接待ゴルフで忙しい。
●圭太
莉子の息子。4歳。幼稚園に通っている。大人しい子で幼稚園が苦手な様子。
●莉子の母親
40歳という若さで亡くなった。とても綺麗な人だったらしい。
●直美
莉子の同級生。独身。莉子夫婦の様子を気にかけている。
●健くんママ
児童館で知り合ったママ友。花屋をオープンさせたばかり。3人の子供がいて保育園に預けている。
●ハルト
健くんママの花屋のアルバイト。気遣い上手で優しい美男子。
簡単なあらすじ
主人公の莉子は夫と子供の3人家族。育児や家事に追われながら、家族のサポートで毎日を過ごしています。
そんな彼女の中には、満たされない感情の壺がありました。それは「女としての価値」だったので・・・
ごくごく普通の平凡な主婦が自分の中の女を探す物語です。
この作品がお勧めできる人・できない人は?
▼お勧めできる人▼
不幸ではないけど幸せなのか疑問を感じている人
自分にとっての幸せがよく分からなくなった人
このままでいいのかモヤモヤしている人
女は求められなければ価値が無いと感じる人
▼お勧めできない人▼
現実を受け入れないタイプが嫌いな人
流されるタイプにイライラする人
▼共感できる主人公がきっといる!無料で読める読切連載▼
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『女はいつまで女ですか?莉子の結論』ネタバレ含む感想
【注意】ここより以下はネタバレ含みます!
私が主人公の莉子にイライラした理由
私はこの作品を読みながら夫の言動にムカつきつつも、なぜか主人公の莉子に対して今ひとつ共感出来ませんでした。
自分の意見をはっきり言えずに相手に気をつかうタイプの主人公は、野原広子作品でも登場します。
似ているタイプにも関わらず、なぜか今回の莉子に対しては感情移入して読めなかったのです。
一度通して読んだ時は気づきませんでしたが、読み返してみて気が付きました。
それは莉子が自分に対する評価軸が、常に“女としてどうなのか”だったからです。
これは野原作品の主人公には、ほとんど出てこない感情ですね。
※男が出来たから逃げたのではなく、逃げた先に男がいたという準主人公はいます(『消えたママ友』ラストの闇が深い!ネタバレ無し&ネタバレ有りの感想・考察ブログより)。
もし女子力を上げるのが好きとか、モテるために女磨きを頑張っている女性であれば、この作品は感情移入して読める作品だと思います。
ワーママ・マウンティングを感じる時代
芸能界でもSNSでもそうですが、女性の中でワーママ・マウンティングのようなものを感じることがありませんか?
専業主婦よりワーママ。ワーママでも、パートよりフルタイム。子供の数が多ければ多いほど、なんだか誇らしげな感じがします。
こんなに大変な状況でも、それらをこなせる能力のある私、みたいな。いや、実際大変なことですし、すごいとは思うんですけどね。
フルタイム勤務で、子どもも複数いて、しかも身綺麗にしてる・・・これが現代で最も最強ではないでしょうか。
この『女はいつまで女ですか?莉子の結論』では、児童館時代に出来たママ友がまさにこの象徴です。
3人の子供を育てながら自分がオーナーとして、花屋をオープンさせた健君ママ。ショートカットに赤い口紅が似合う、素敵なママさんです。
それを見て、夫は言いました。
子供3人・・・
育てながら働いてる割りに
綺麗にしてるんだね
一方、莉子の子供は一人だけで、この時はまだ専業主婦でしたが身なりはヨレヨレ・・・
息子は繊細な甘えん坊で、莉子の時間は全て夫と子供に使っていたので自分のことは後回しでした。
もともと莉子は女性としてどうかが自分を評価する軸だったタイプです。そんな風に他人と比べて言われるのは相当ショックだったでしょう。
夫の発言が矛盾ばかりでモヤモヤする
妻の誕生日は数年間忘れても、燃えるゴミの日はしっかり覚えていてゴミ出しもしてくれる夫。
(まあゴミ集めはやらないんですけど)
妻がため息をついた時や、髪型を変えたことにも気が付きます。夫なりに妻に気を配っている様子は感じられました。
(まあ深くは聞かないんですけど)
ただし気になるのは、夫の発言がところどころ矛盾しているところです。例えば莉子の外見に対して・・・
「まさかその恰好で行くの?」
「そういうの…あまり気にしなくなったよね」
「莉子も昔はいろいろ頑張ってたよね」
こんな風にダメ出しをしていました。
女としてサボってきた自分が悪かったのだと、莉子は少しずつ努力を始めます。
ところが夫は褒めるどころか、面倒くさいそぶりを見せるのです。
莉子に対して色々と指摘するわりには、変化することに難色を示す場面が多々ありました。
この夫の本心がどうもハッキリせず、読んでいてイライラしましたね。
二人とも親からの影響が原因だった
莉子が「女として求められているかどうか」が、自分を評価する軸になっていた理由は母親の影響からでした。
「女の子なんだからキレイにしなさい」が口癖だった母。
子供と一緒に遊ぶよりも、これから迎えに来る男性のために化粧を優先するタイプの母親だったようです。
女の子は女らしくキレイでいないと・・・
誰にも選んでもらえないのよ
女性として見てもらえること。男性から選んでもらえること。そのために綺麗でいるべきこと。
これらが莉子の価値観として刻まれてしまったのですね。
女磨きを始めた莉子に対して、今のままでいいじゃないかと夫は言いました。
外見に対してダメ出しをしたり、他の女性を褒めておきながら、別にそのままでいいと言われたらどうでしょう。
莉子は「女性としての私はもう別にいいってこと?」と不安になりますよね。でもこれは的外れでも無かったのです。
最後に:女はいつまで女ですか?の結末は伏線回収がお見事でした
莉子の古い友人である直美は、彼女に対してこう言いました。
莉子ってさーずるい女だよね
女でいることの息苦しさを感じてるくせに
自分に都合のいいところだけ
ちゃっかり手に入れて
大人しくて人に流されているように見える莉子ですが、実はそうとも言い切れない所があるようです。
夫が妻に対して女性としての部分を望まなくなったように、“妻”の自分は多くのことを望まないと決めた莉子。
そんな夫婦がそれぞれ選んだ結末は・・・
『女はいつまで女ですか?莉子の結論』読みました。
主人公は女として必要とされるか、されないかが自分の価値だと思っているタイプの女性。
そりゃ乾いた心に水を注いでくれる相手が現れたら、心が動かされちゃうよね。
いかにも女子力高めのタイプじゃないから、夫は分からなかったんだろうな。
— maki@マンガ感想ブログ更新中 (@kon_chiho) December 17, 2021
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