ハラハラ系マンガ感想

『実家が放してくれません』は面白い?ネタバレ無し&ネタバレ有りの感想ブログです

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今回は、まきりえこさんの
『実家が放してくれません』
読んだ感想です。

主人公の女性は
小さい頃から母による
ダメ出しをあび続けてきました。

その後、穏やかな男性と結婚し
小さな古い借家で
新しい家庭を築き始めます。

しかし母親がいなくても
母親の影響は
彼女に色濃く影を落とします。

果たして彼女は母親の呪縛から
逃げることは出来るのでしょうか?

読むかどうか迷われている方は
参考にしてくださいね。

『実家が放してくれません』作品概要

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タイトル:実家が放してくれません
著者:まきりえこ
出版社 : 集英社
発売日 : 2021/7/5

ちほちゃん
ちほちゃん
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登場人物

●アサ(妻)
本名は屯田朝。28歳。
自宅でフリーのデザイナーとして働く。

●エイト(夫)
本名は屯田英偉人。
東京の大学へ進学し就職したが
精神的に疲れてしまい辞職。

Uターン就職するも
職場環境が合わず辞職する。

●アサの母
作品の中では黒塗りの存在で
顔も名前も不明のまま。

長女のアサには辛く当たってきたが
長男のリヒトは超お気に入りだった。

次女のミライは見た目がよく
子供の頃は可愛がっていたらしい。

●エイトの母
明るい性格で嫁のアサとは関係が良好。
料理は苦手だが、洋裁はプロの腕前。

●伯母さとこ
アサの母の姉。
最近まで疎遠だったが
アサとは交流が復活する。

●ヨリコ
アサの友人で、以前は同じ職場だった。

●アー君ママ
保育園が同じママ友。
じっくり過ごす時間はなかったが
アサにとって頼もしい友人となる。

●ひーちゃんとまいちゃん
小学生時代に仲良くしてくれた友達。

あらすじ

エイトとアサは、借家に住む若夫婦です。

転職を繰り返す夫が気になるも
在宅でデザイナーの仕事をしながら
家事や育児を頑張っている妻のアサ。

しかし、大人になった今も
その場にいない実母の声が
アサには聞こえてくるのです。

家を出て新たな家族をつくっても
実母の影響が未だに続きます。

果たしてアサはこの呪縛から
逃れることが出来るのでしょうか・・・

【注意】ここより以下はネタバレ含みます!

【ネタバレ含む感想】このマンガで考えさせられたこと

どこからが毒親と言えるのか

主人公であるアサの母親は
間違いなく毒親です。

幼少期から浴びせ続けた
「お前はダメな人間だ」という呪い。

それはアサが大人になり
結婚をして家を出てからも
頭の中にいる母親が
常に彼女を否定し続けます。

アサの母親は、このような願望が
あったのではないでしょうか。

  • 私は特別な人間だ
  • 周りから注目を浴びたい
  • 他人からすごいと言われたい

残念ながらアサの母親の生活に
そんな機会は多くありません。

そこで娘にダメ出しすることで
相対的に自分の価値を上げて
承認要求を満たしていたのかもしれません。
宿題をしながら居眠りする子供_186
お前はあれが出来ない
これも出来ない
だが私はできる(優秀だから)
と。

母親に愛されたいアサは
母親が喜ぶような
言葉を選ぶようになりました。

母親は自分の埋めたい穴を
補完するために
娘を利用していたと言えるでしょう。

分かりやすい毒親だと思います。

リヒトの母も毒親なのか?

外したメガネ
一方、アサの夫リヒトも
自分の母から毒の影響を
受けていたようです。

でも、けっして義母は
嫌なお姑さんではありません。
(むしろ羨ましいぐらい)

アサは気さくな義母が大好きで
母親から得られなかった愛情を
義母から感じて涙することもあります。

実母が家に近寄らせないための
魔除けとしても
頼りにしているぐらいです。

そんな義母ですら
自分の息子に対しては
問題があったんですね。
男性医師
リヒトの一族は医師や弁護士などの
優秀な肩書を持つ人が多く
義母もその価値観に
影響されていたようです。

のんびりした温和な息子が
将来、困らないようにと
教育ママとして
厳しく育てて来ました。

ですが、社会人になったあたりから
その影響が表面化してきます。

リヒトの闇の部分は
妻のアサも気づいていました。
暗闇にいる男性
義母も息子をそうしてしまったのは
自分のせいだと悔やんでいます。

ですが、もともとは
息子のために「良かれ」と思って
やってきたことです。

高嶋ちさ子さんの本を読むと
プロの音楽家になるような方は
幼少期からものすごい時間をかけて
練習を積んで来たことが分かります▼

もし、大人になって
プロとして活躍していなければ
毒親と言われてしまうかもしれません。

セクハラ、モラハラと同様に
受け取る側の感じ方次第で
毒親と呼ばれてしまうのでしょうね。

▼こちらも男らしさの教育に
苦しんだ親子が描かれています▼

毒親を拒んだあとの変化に驚く

多くの毒親作品では
子供が毒親から卒業するまでを
描かれている場合が多いです。

主人公のアサも自分の娘のために
母親を拒絶する決意をしました。

大半の毒親作品は親と決別したあとは
清々しい心境に変わります。
ガッツポーズの女性_32
私だったら清々して
鼻歌でも歌いながら駆け出す勢いです。

ところがアサは違いました。
むしろ抜け殻状態になってしまったのです。

いったいなぜでしょう?

毒母が判断基準の中心だったから

これまで何をするにも
『母親に嫌われないように』という
判断基準で生きてきた彼女。

それが無くなってしまったことで
これまでの価値観が
全て白紙になってしまったからです。

28年間かけて培われてきた
自分の思考がゼロになった状態で
どんな小さな判断でも
自分の意志で決めなければいけません。

何が正しくて何が正解なのか?
立ち直れない女性
選択するということは
想像以上のエネルギーを
消費する行為だそうです。

ましてや小さい子供がいると
思考を細切れに分断されたり
瞬時の判断が必要だったりと
脳が疲れますよね。

毒親の価値観で
アサの脳は占領されてきました。

それが突然消えてしまうことで
ポッカリと穴が空いてしまう・・・

あれだけ酷い仕打ちをされた
相手が心の拠り所でもあったことに
恐ろしさを感じました。

肯定されなかった子供の生きづらさ

ボールで遊ぶ子供
ここ最近、育児の現場で
よく見聞きするのが
自己肯定感という言葉です。

これが低い状態で育つと
後々、影響が出ると言われています。

アサの弟と妹は
母親から可愛がられて成長しました。

だからこそ大人になってから
アサよりも先に
毒母を自分の人生から
締め出すことが出来たのです。

最もひどい扱いを受けたにも関わらず
母と関係を続けてきたのがアサです。
悪口を言うアヒル達
自分が悪いから怒られて当然だ
自分ができないから悪いんだ
だからこんな扱いをされても仕方ない。

悪いのは自分。
こうなった原因は自分。

自己肯定感が低いと
鼻の利く人間が弱い者のニオイを
嗅ぎつけてくるでしょう。

とはいえ、子ども時代の環境は
簡単に変えられません。

大人になってから
自分で自己肯定感って
上げる方法はあるんですかね?

そこが知りたいです。

最後に:『実家が放してくれません』の結末にモヤッとしたこと

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一応、ハッピーエンドで終わった
『実家が放してくれません』ですが
読後にモヤモヤしたものが残りました。

最後のエピローグで見せた
伯母さとこの表情。

何を狙ってこの表情なのかが
今ひとつ分かりにくかったです。

コミックエッセイ界の
イヤミスの女王と私が読んでいる
野原広子さんの作品では
意味深なラストが度々見られます。

▼におわせラストから想像▼

ただし、その意味深な
表情やセリフからは
物語が想像しやすいのが特徴です。

今回のさとこの表情は
個人的には不要だったかなと思います。

他の毒親マンガに比べると
エンタメ性に弱いかなと感じましたが
そこがリアルだったと思います。

母親との関係にモヤモヤしている方は
一度、読んで見てはいかがでしょうか。

作者のまきりえこさんの
インタビューはこちら↓

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娘のマインドをコントロールする
優しく知性のある毒母の話▼

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管理人
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